
2.7.2.4 二重底
本研究ではばら積貨物船の二重底に関するNKルールの理論的背景について調査し、その基本的な考え方及び、二重底高さ、桁、肋板についてのルール背景についても調査を行った。
近年貨物倉の容量を少しでも多く取るために二重底高さは低くなりつつある、また一方では、高張力鋼の使用量増大に伴いますます二重底の撓みが増加する傾向にある。
そこでばら積貨物船のハンディ―サイズ、パナマックスサイズ、ケープサイズの3船種の解析における撓みについて調査、研究を実施した。
二重底の種々の構造寸法や桁の配置がどの様に二重底撓みに影響を及ぼすのかについて把握する必要がある。そこで簡易二重底モデルを作成し近似的に解析する手法について検討を行った。
二重底簡易モデルにより種々の構造寸法や桁の配置が二重底に及ぼす挙動を把握し、最適設計に供する資料となるパラメーターを見つける為に、3種類の船のサイズ(ハンディーサイズ、パナマックスサイズ、ケープサイズ)で簡易解析を実施した。
解析では、二重底高さの違い、二重底幅の違い、桁配置の違いによるそれそれの最大撓み、桁及び肋板の最大応力を求めた。
結果を図2.7.16から図2.7.21に示す。
引き続きパナマックスバルカーの二重底新簡易モデル解析としてロアースツール及びビルジホッパー部をモデルに加えた新簡易モデルでの解析を実施した。これらの剛性を加えることにより、更に立体解析モデルに近づけられたものと考える。この解析では、各モデルの部材板厚を統一し、撓み及び桁応力を求め、比較を行った。
二重底新簡易モデルで材料コストの経済性を見る目的で、各モデルに対する重量を求めた。
合理化の対象は重量だけではなく、部材数や積付合の容積等についても検討すべきであるが、今回は重量と積付合容積についてまとめた。
二重底撓み及び桁応力の簡易推定式について、単一の条件での撓み推定式及び桁最大応力推定式を導いた、また各条件の組み合わせによる簡易推定式も導き、これら推定式は、設計初期段階に於ける概略推定に役立てられるものと考える。
2.7.2.5 クロスデック
(1) クロスデッキが一番大きな圧縮力を受ける状態を考え、NKの検査要領に従いパネルの座届検討を行ったところ、一部のパネルで座屈強度を満足しない事がわかった。
(2) (1)で考えた荷重状態は、波浪が上甲板上2.45mにまで達する事になるが、実際このような状態が起こり得るのか調査をする必要がある。
(3) 当荷重状態の基で桁の応力については、特に問題がない事がわかった。
(4) クロスデッキ全体のたわみについてば、デッキガーダーの追加やハッチエンドビームの深さの増大等、桁の剛性を上げてもさほど効果がない事がわかった。
(5) クロスデッキ全体の変形の状態を見るとセンターライン上がもりあがっているが、その原因は横断面、特にトップサイドタンクの回転変形にある事がわかった。
(6) それ故クロスデッキの撓みを減少させるためには桁の剛性を上げるよりサイドフレームやトップサイドタンク、更にはアッパーストゥールの剛性を上げる事が根本的には必要である事がわかった。
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